2026年9月、世界のデザイン関係者がパリに集まります。
9月10日〜19日に開催される「Paris Design Week 2026」では、家具やインテリアだけでなく、アート、ファッション、建築、素材、クラフトまで、街全体を舞台に数多くの展示やインスタレーションが登場します。
今年は「Maison&Objet Pulse」も9月10日〜14日に開催。パリ市内の美術館、歴史的建築、ギャラリー、ショップ、公共空間などへイベントが広がります。
数百ものイベントが開催される中、2026年は何が注目されているのでしょうか。
今回はdesignboomの「Paris Design Week 2026」ガイドから、日本から見ても面白い5つのデザイントレンドをピックアップします。
🎨 1. デザインは「見るもの」から「体験するもの」へ
2026年の大きなキーワードの一つが、体験型デザインです。
Maison&Objet Pulseの今年のテーマは「Pulse in Motion」。
「動き」「集合的なエネルギー」「人々をつなげるデザイン」に焦点を当て、没入型空間、新製品、クラフト、素材、新進デザイナーなどを7つのセクターで紹介します。
会場だけでなく、パリの街そのものを使った作品も目立ちます。
例えば中国人デザイナーWu Binによる「The Pavilion of Time」は、鏡面仕上げのステンレスと中国の伝統的な宣紙から着想を得た半透明素材を組み合わせたパビリオン。
周囲の木々や空、人々を表面に映し出し、太陽の動きによって内部の光景まで変化する仕組みです。
単に完成した家具を見るのではなく、
空間に入る → 歩く → 触れる → 光や音を感じる
という「体験」そのものがデザインになっています。
2. 伝統工芸×現代デザインが世界的テーマに

もう一つ注目したいのが、昔から存在する素材や技術を現代デザインとして再解釈する動きです。
象徴的なのが「Hanjimania」。
フランスと韓国のデザイナーが、韓国の伝統紙「韓紙(Hanji)」をテーマに作品を制作します。
さらに香水調香師が韓紙から着想した香りまで制作し、視覚だけではない素材体験へ発展させています。
また「Astre Mobile」では、自動車という工業製品をフランスのクラフト技術で再解釈。
スピードメーターを羽根細工にしたり、シフトレバーを磁器で制作したり、流木をステアリングに使ったりと、自動車そのものを「動く工芸品」のように変換しています。
これは日本にとっても重要なトレンドです。
漆、和紙、陶磁器、木工、染織など、日本にも世界へ展開できる伝統素材・技術が数多く存在するからです。
♻️ 3. 「捨てられるもの」がデザイン素材になる

サステナビリティも、単なる環境配慮から作品そのもののテーマへ進化しています。
パリのバスティーユ広場ではStudio 5.5が「La Re-prise de la Bastille」を展開。
衣類リサイクルシステムを通じて回収された廃棄衣料を使用し、7月革命記念柱の周囲に巨大なテキスタイル作品を作ります。
ポイントは、
「廃棄物を減らす」だけではなく、「廃棄物を新しいデザインへ変える」
という発想です。
ファッション業界で進んできたアップサイクルが、家具、建築、アート、公共空間へさらに広がっていることが分かります。
4. 普通の家具が「アート」になっていく
面白いプロジェクトの一つが「BAR STOOL」です。
テーマは、名前の通りバースツール(バー用の椅子)。
27人のフランス・海外デザイナーが、一つの身近な家具をそれぞれの方法で再解釈します。
しかも単に展示するだけではありません。
会場にはセルフサービス型の飲食スペースが作られ、来場者は実際に作品へ座って体験できます。
さらに「1000 VASES」では、60カ国以上から集まった独立系デザイナーたちが「花瓶」という一つのテーマに挑戦。
ミニマル、幾何学的、彫刻的、遊び心のある作品など、同じ用途の物でもデザインによって全く違うものになります。
つまり、
家具=便利な道具
だけではなく、
家具=作品・個性・体験
という考え方が強まっています。
5. 歴史的建築×現代デザイン
そしてパリならではなのが、歴史的な場所そのものを作品の一部として利用することです。
代表例が凱旋門。
デザイナーJérémy Pradier-Jeauneauによる「La Tempête」は、凱旋門内部からテラスまでを使い、彫刻、音、テキスタイル、ガラス、陶芸、香りを組み合わせます。
作品を歴史的建造物の中に置くだけではなく、凱旋門そのものを体験の一部として利用するのが特徴です。
Grand Palaisでも、Uchroniaが巨大な花をモチーフにした「Le Grand Bouquet」を展開。
建物にもともと存在する花の装飾から着想し、光る巨大な花びらと円形の座席によって、人々が集まる空間を作ります。
古い建築を保存するだけではなく、
歴史 × 現代デザイン
によって新しい体験を作る発想です。
2026年、デザイン界で起きている変化
今回のParis Design Weekを見ていくと、一つの共通点が見えてきます。
それは、
「完成した商品を見るデザイン」から「人が参加するデザイン」への変化です。
素材に触れる。
椅子に座る。
建築の中を歩く。
光の変化を見る。
香りを感じる。
廃棄物が作品へ変化する。
デザインが家具や商品の「見た目」だけではなく、人が何を感じ、どのように空間や物と関わるかまで含むものになっています。
日本でも注目したい理由
このトレンドは、日本との相性もかなり良さそうです。
特に注目したいのが、
伝統工芸 × 現代デザイン × 体験型空間
という組み合わせです。
今回、韓国の伝統紙「韓紙」がフランスのデザイナーとのコラボレーションによって新しい表現へ変化しているように、日本にも和紙、漆、竹、陶磁器、木工などがあります。
伝統技術を「昔からあるもの」として保存するだけではなく、海外デザイナーやブランドと組み合わせて現代の家具・ファッション・空間へ再設計することには大きな可能性があります。
💡 WORLD TREND LABが注目したいポイント
Paris Design Week 2026から見えるのは、単なる「今年流行する家具の色や形」ではありません。
より大きな変化は、
モノ → 体験
大量生産 → クラフト・素材
新品素材 → 再利用素材
展示 → 参加
伝統 → 現代的な再解釈
という方向へのシフトです。
これらはデザイン業界だけではなく、ファッション、ホテル、飲食店、小売、観光などにも広がる可能性があります。
2026年以降、**「何を作ったか」だけでなく「どんな体験やストーリーを作ったか」**が、ブランドの価値を左右する時代になっていきそうです。
まとめ
Paris Design Week 2026は、9月10日〜19日に開催され、パリ各地で数多くの展示、インスタレーション、ショールーム、イベントが展開されます。
今回特に注目したい海外トレンドは、**「体験型デザイン」「伝統工芸の再解釈」「アップサイクル」「家具のアート化」「歴史的空間×現代デザイン」**の5つ。
デザインは「美しい物を作ること」から、人・文化・素材・空間をつなぐ体験を作ることへと広がっています。
出典: designboom「designboom’s guide to paris design week 2026: highlights in and out of maison&objet」

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